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A Fact that Should Change the World
世界を変えるほどの事実
1
現代のスーパーマーケットは不思議なものです。たとえ外は雪が降っていて、夏が記憶にしか残っていないとしても、イチゴを買うことができます。もし、夏のさなかに根菜類が欲しくなれば、手に入れられます。ホームシックのアメリカの人は白いクリームのつまった大好きなチョコレートクッキーを手に入れられますし、一方、ホームシックのニュージーランドの人はキウィフルーツを食べることができます。キウィフルーツは、摘まれてからわずか数日で、みなさんのショッピングカートに入って、外で木の葉が舞い落ちているときに、春の味がするのです。
まったくもって素晴らしい――みなさんの買い物カゴにかかっている莫大なフードマイレージについて考え始めるまでは。こうしたキウィフルーツは、2万km近く、すなわち12,000マイル近くも旅してきています。飛行機で空輸され、道路を移動してきたのです。スーパーマーケットに到着するまでには、キウィフルーツは、自重の5倍もの温室効果ガスが大気中に排出される原因になっています。ますます、私たちの食べ物は、どんどん遠くからやって来ています。食べ物を私たちの所まで持って来るのにかかる燃料に、ますます依存するようになっているのです。
現在、食べ物がイギリスの道路で運ばれるすべての品物(→陸上輸送貨物)のうちの40%までもを占めていると言われます。国家間の食料取引は、世界の人口や食料生産よりも速く増えています。言い換えれば、食料は今まで以上にあちこちに移動していて、環境面に与える影響は莫大なものになる可能性があります。
2
イギリスの涼しい気候は、リンゴの栽培に適していますが、イギリスで食べられるリンゴのうちの4分の3近くは輸入されています。(このため、)60%以上のイギリスのリンゴ園が、過去30年で破壊されてきています。今では、農産物を食べることから摂取するのよりも、たくさんのエネルギーをその農産物の輸送につぎ込んでいる農作物もあります。アメリカからイギリスに輸入されるレタス1カロリー毎に、127カロリーの燃料が使われています。
今では、効率よく「食料を交換している」状況にある国もありますが、(逆に)ある製品を大量に輸出し、その一方で同じ製品をほぼ同じ量輸入している(という効率の悪い)国もあります。これはとても奇妙で、とても無駄の多いやり方です。牛乳の輸出入は特にハッキリとした例です。2001年、イギリスは14.9万トンの新鮮な牛乳を輸出し、11万トンを輸入しました。40年前なら、ほとんどの人が地元の酪農家が作った牛乳を飲んでいたことでしょうが、1961年と1999年の間の牛乳の輸出量は500%だけ増加しました(→6倍に増えました)。牛乳が雌牛から直接取れるということを忘れて(→搾りたての牛乳をあきらめて)、シリアルにかける牛乳は、多分数千マイル移動した後、大型トラックから直接やって来ます。
そう遠くない将来のある日には、世界中の石油を使い果たすことでしょう。そのときまで今の私たちの生活様式を変えるもっともな理由はそんなにないように思えます。世界レベルでの温室効果ガスの排出を制限しようと努めている京都議定書は、国家間の海路・空路による貨物輸送から生じる(温室効果)ガスを含んでいません。1年を通して夏の果物や野菜を欲しがることが、地球に深刻なダメージを与えているのかもしれません。私たち消費者は冬のさなかに熱帯の果物を買うのに慣れていますから、私たちの生活習慣を変えさせてしまいかねないようなものを理解するのは難しいのです。
3
しかし、理解しなければいけません。気象変動は事実なのです。食料の生産方法と輸送方法が気象変動の主な理由なのは明らかです。スーパーマーケットは消費者が安い食べ物と利便性を望んでいると主張します。どこで買えるものであっても、スーパーマーケットは安い品物を買わなければいけないということです。しかし、果物や野菜を輸入するのに実際にかかるコストを注意深く見れば、今までとは違った結論に達するかもしれません。南西地元食品共同組合が行った調査によると、農家の直営店で売られる品物はスーパーマーケットで売られる品より平均30~40%安いということがわかりました。
しかし、ただ「地元のものを買」えばいいというものではありません。これは、どっちの食べ物が私たちの夕食の食卓に届くまでの行程で一番少ない資源を使っているのかを解明するという問題なのです。例えば、スウェーデンの買い物客は地元で栽培されたトマトよりもスペイン産のトマトを買う方がエネルギー効率がいいのです。スウェーデン産のトマトは化石燃料を使って温められる温室で育てられているからです。
イギリスの気候の現実は(→イギリスの気候は厳しいという現実がありますから)、イギリスはいつだって他の国々から食料を輸入しなければいけないことになるでしょう。しかし、依然として良い選択と悪い選択があります。空輸される食べ物は価格的にも環境的にも悪い影響を及ぼします。船で果物と野菜を輸送すれば温室効果ガスは60分の1しか出ません。合衆国では、その食べ物を作り、運搬するのにどのくらいたくさんのエネルギーがかかったのかを示す「エコラベル」を食べ物に導入する動きがあります。
4
今度スーパーマーケットに行ったら、みなさんの食べ物、特に新鮮な農産物にエコラベルが貼ってあるかどうかよく見てください。そして、リンゴ1袋やエビ1袋がどのくらいの距離を空輸されているのかを考えてみてください。もし触ってみて固い感じのする、色の悪そうなトマトを見たら、どんな味がするんだろうと考えてみてください。夏や日光の味がするのでしょうか? それとも、早摘みされ、冷蔵輸送機で長旅をした後の味がするのでしょうか?
利便性とスピードよりも風味と(食の)楽しみに重要性を置いている、高まりつつある「スローフード」運動が、ここでは一理あるかもしれません。それはそうと、一体誰が冬のさなかにイチゴを欲しがるのでしょうか? 季節の果物や野菜を買って、こうした食材を調理するもっとのんびりとした方法を再発見することに時間をかけてましょう。そうすれば、みなさんの味蕾は、きっとみなさんに感謝することでしょう。そして、やがては、環境もみなさんに感謝することになるでしょう。
世界を変えるほどの事実
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現代のスーパーマーケットは不思議なものです。たとえ外は雪が降っていて、夏が記憶にしか残っていないとしても、イチゴを買うことができます。もし、夏のさなかに根菜類が欲しくなれば、手に入れられます。ホームシックのアメリカの人は白いクリームのつまった大好きなチョコレートクッキーを手に入れられますし、一方、ホームシックのニュージーランドの人はキウィフルーツを食べることができます。キウィフルーツは、摘まれてからわずか数日で、みなさんのショッピングカートに入って、外で木の葉が舞い落ちているときに、春の味がするのです。
まったくもって素晴らしい――みなさんの買い物カゴにかかっている莫大なフードマイレージについて考え始めるまでは。こうしたキウィフルーツは、2万km近く、すなわち12,000マイル近くも旅してきています。飛行機で空輸され、道路を移動してきたのです。スーパーマーケットに到着するまでには、キウィフルーツは、自重の5倍もの温室効果ガスが大気中に排出される原因になっています。ますます、私たちの食べ物は、どんどん遠くからやって来ています。食べ物を私たちの所まで持って来るのにかかる燃料に、ますます依存するようになっているのです。
現在、食べ物がイギリスの道路で運ばれるすべての品物(→陸上輸送貨物)のうちの40%までもを占めていると言われます。国家間の食料取引は、世界の人口や食料生産よりも速く増えています。言い換えれば、食料は今まで以上にあちこちに移動していて、環境面に与える影響は莫大なものになる可能性があります。
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イギリスの涼しい気候は、リンゴの栽培に適していますが、イギリスで食べられるリンゴのうちの4分の3近くは輸入されています。(このため、)60%以上のイギリスのリンゴ園が、過去30年で破壊されてきています。今では、農産物を食べることから摂取するのよりも、たくさんのエネルギーをその農産物の輸送につぎ込んでいる農作物もあります。アメリカからイギリスに輸入されるレタス1カロリー毎に、127カロリーの燃料が使われています。
今では、効率よく「食料を交換している」状況にある国もありますが、(逆に)ある製品を大量に輸出し、その一方で同じ製品をほぼ同じ量輸入している(という効率の悪い)国もあります。これはとても奇妙で、とても無駄の多いやり方です。牛乳の輸出入は特にハッキリとした例です。2001年、イギリスは14.9万トンの新鮮な牛乳を輸出し、11万トンを輸入しました。40年前なら、ほとんどの人が地元の酪農家が作った牛乳を飲んでいたことでしょうが、1961年と1999年の間の牛乳の輸出量は500%だけ増加しました(→6倍に増えました)。牛乳が雌牛から直接取れるということを忘れて(→搾りたての牛乳をあきらめて)、シリアルにかける牛乳は、多分数千マイル移動した後、大型トラックから直接やって来ます。
そう遠くない将来のある日には、世界中の石油を使い果たすことでしょう。そのときまで今の私たちの生活様式を変えるもっともな理由はそんなにないように思えます。世界レベルでの温室効果ガスの排出を制限しようと努めている京都議定書は、国家間の海路・空路による貨物輸送から生じる(温室効果)ガスを含んでいません。1年を通して夏の果物や野菜を欲しがることが、地球に深刻なダメージを与えているのかもしれません。私たち消費者は冬のさなかに熱帯の果物を買うのに慣れていますから、私たちの生活習慣を変えさせてしまいかねないようなものを理解するのは難しいのです。
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しかし、理解しなければいけません。気象変動は事実なのです。食料の生産方法と輸送方法が気象変動の主な理由なのは明らかです。スーパーマーケットは消費者が安い食べ物と利便性を望んでいると主張します。どこで買えるものであっても、スーパーマーケットは安い品物を買わなければいけないということです。しかし、果物や野菜を輸入するのに実際にかかるコストを注意深く見れば、今までとは違った結論に達するかもしれません。南西地元食品共同組合が行った調査によると、農家の直営店で売られる品物はスーパーマーケットで売られる品より平均30~40%安いということがわかりました。
しかし、ただ「地元のものを買」えばいいというものではありません。これは、どっちの食べ物が私たちの夕食の食卓に届くまでの行程で一番少ない資源を使っているのかを解明するという問題なのです。例えば、スウェーデンの買い物客は地元で栽培されたトマトよりもスペイン産のトマトを買う方がエネルギー効率がいいのです。スウェーデン産のトマトは化石燃料を使って温められる温室で育てられているからです。
イギリスの気候の現実は(→イギリスの気候は厳しいという現実がありますから)、イギリスはいつだって他の国々から食料を輸入しなければいけないことになるでしょう。しかし、依然として良い選択と悪い選択があります。空輸される食べ物は価格的にも環境的にも悪い影響を及ぼします。船で果物と野菜を輸送すれば温室効果ガスは60分の1しか出ません。合衆国では、その食べ物を作り、運搬するのにどのくらいたくさんのエネルギーがかかったのかを示す「エコラベル」を食べ物に導入する動きがあります。
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今度スーパーマーケットに行ったら、みなさんの食べ物、特に新鮮な農産物にエコラベルが貼ってあるかどうかよく見てください。そして、リンゴ1袋やエビ1袋がどのくらいの距離を空輸されているのかを考えてみてください。もし触ってみて固い感じのする、色の悪そうなトマトを見たら、どんな味がするんだろうと考えてみてください。夏や日光の味がするのでしょうか? それとも、早摘みされ、冷蔵輸送機で長旅をした後の味がするのでしょうか?
利便性とスピードよりも風味と(食の)楽しみに重要性を置いている、高まりつつある「スローフード」運動が、ここでは一理あるかもしれません。それはそうと、一体誰が冬のさなかにイチゴを欲しがるのでしょうか? 季節の果物や野菜を買って、こうした食材を調理するもっとのんびりとした方法を再発見することに時間をかけてましょう。そうすれば、みなさんの味蕾は、きっとみなさんに感謝することでしょう。そして、やがては、環境もみなさんに感謝することになるでしょう。
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