Genius 2 Lesson 10 単語の意味&本文和訳 保存倉庫
Lesson 10
Donald Woods:
Real Journalism Takes Courage
ドナルド・ウッズ:
真のジャーナリズムは勇気を必要とする
Part 1
journalism ジャーナリズム、報道業界
take 必要とする
courage 勇気
ordinary 普通の、一般の
citizen 市民
journalist ジャーナリスト
editor 編集者、編集長
dispatch 特報、(急に・特別に)派遣する
certainly 確かに
countless 数えきれないほどたくさんの、無数の
cruel 残酷な、残忍な
apartheid system アパルトヘイトの制度・政策
onward 前方へ
from ~ onward ~から先に
introduce 導入する
force 人 to ― 人に―することを強制する
apart 離れて、別々に
prohibit 禁止する
mixed marriage 異なった宗教・人種間の結婚・異人種間結婚
limit 制限する
in many ways いろんな方法で、いろんな点で
deprive 奪う
deprive 人 of モノ 人からモノを奪う
vote 投票する
right 権利
movement 運動、活動
political activity 政治活動
wealthy 裕福な
legal 法律の
question 異議を唱える、疑う、質問する
racial 民族の
segregation 人種差別、分離
accompany 伴う
injustice 不正、不公平
correspondent 特派員
editor‐in‐chief 編集長、編集主幹
critically 批判的に
analyze 分析する
action 行動
opposition 反対(派)の
succeed in ― ing ―することに成功する
coverage 報道、取材範囲
despite ~ ~にもかかわらず
background 背景、生い立ち、経歴
by ― ing ―することによって
run the story その記事を載せる
prominent 目立った、卓越した、著名な
publication 出版物、出版
brave 勇敢な
due 正当な、当然支払われるべき、期日が来ている
principle 根本方針、行動規範、原理、原則
newsroom 編集室
glimmer かすかな光、かすかに光る
a glimmer of ~ 少量の~、かすかな~
seek 探す
confused 混乱した
良いジャーナリズムは、一般の市民の人生を変えることもよくあります。デイリー・ディスパッチ紙の記者であり編集者でもあるドナルド・ウッズは、残酷なアパルトヘイト制度のもとで暮らしていた南アフリカの数知れない人たちの人生を確実に変えました。
1948年以降、南アフリカの国民党政府によって導入された法律は、黒人と白人に別れて生活するように強制し、異人種間の結婚を禁止し、多くの点で黒人の権利を制限しました。例えば、黒人たちは投票権と、移動や政治活動の自由を奪われました。
ウッズは、1933年に南アフリカのイースト・ロンドンの裕福な家庭に生まれ、アパルトヘイト制度を受け入れながら成長しました。ウッズが人種差別制度とそれに伴う不公平に疑問を感じ始めたのは、ケープタウン大学で法律を学ぶ学生の時でした。1950年代後半からずっと、ウッズは南アフリカの内外の様々な新聞の特派員として、編集者として経験を積んで、1965年にデイリー・ディスパッチ紙の編集長になりました。
デイリー・ディスパッチ紙の編集長として、ウッズは、国民党政府の行動と反対勢力の行動の両方を批判的に分析しました。自分の個人的な生い立ちにもかかわらず、公正な政治報道を行うことに成功しました。他のどんな優れた出版物も発表する勇気が十分にはなかった記事を載せることによって、そして、批判が正当性を持つときには政府と反対勢力の両方を批判することによって、ウッズは編集部に勇気と基本方針をもたらし、混乱の1970年代に新しい道を探っていた南アフリカの人々に希望のかすかな光を与えました。
Part 2
be remembered for ~ ~のために記憶される
give a voice to ~ ~に発言権を与える、~に発表の場を与える
consciousness 意識
grass‐roots 草の根の
resistance 抵抗
the policy of apartheid アパルトヘイト政策
insist that ~動詞の原形~ ~を主張する
take pride in ~ ~を誇りに思う
blackness 黒人であること、黒人としての自覚
crucial きわめて重大な
step 一歩、一段階
liberation 解放、解放運動
at first 最初は、初めは
disapprove 非難する
disapprove of ~ ~に不賛成を唱える、~を非とする
be under the impression that ~ ~と言う(間違った)印象を持っている、~と思い違いをしている
discrimination 差別
namely すなわち
supporter 支持者、支援者
criticize 批判する
misleading 惑わせる、人を誤らせる、誤解を招きやすい
article 記事
meet with ~ ~と会談する
anti‐apartheid activist 反アパルトヘイト活動家
opponent 敵対者、相手
lead‐led‐led 導く、指導する
nation 国家、国民
the beginning of ~ ~の始まり
accurate 正確な
what ~ be about ~はどのようなものなのか、~について
fascinate 魅了する
describe A as B AをBとして述べる・言い表す
privilege 特権
virtue 美徳、長所
count A among B AをBの中の1つと見なす・考える
wisdom 知恵、英知、学問
compassion 思いやり、深い同情
intellect 知性、知力
from then on それ以来・以降
fiercely どうもうに、激しく
negative 否定的な、批判的な、反対の
reaction 反応
suggest that ~動詞の原形~ ~と言うことを提案する・示唆する
hire 雇う
reporter 記者
persuade 説得する
persuade 人 to ― 人に―するように説得する
employ 雇う
to say the least 控え目に言っても、少なくとも
controversial 議論の余地がある
strict 厳しい
at the time 当時、その頃
ウッズは黒人意識運動に発表の場を与えたことで記憶されています。黒人意識運動はアパルトヘイト政策に抵抗し、黒人のさらなる権利を要求する草の根運動でした。黒人意識運動は、個人解放での重要な一歩として黒人(自身)が黒人であることに誇りを持つようにとも主張していました。
しかし、最初のうちは、黒人意識運動は差別のもう一つの形態にすぎない、すなわち、黒人の側からの白人に対する(逆)差別にすぎないという(間違った)印象を、ウッズが持っていたために、ディスパッチ紙は黒人意識運動に賛同していませんでした。黒人意識運動に関して(人々の)誤解を招く記事をウッズが書いたとして黒人意識運動の支持者たちが批判し始めると、ウッズはスティーブ・ビコと会談することに合意しました。ビコは、国の黒人意識運動を指導する反アパルトヘイト活動家で、政府に敵対する人でした。
この会談は、2人の間の強い友情の始まりになりました。ウッズは黒人意識運動についてのより正確な理解を得て、ビコに魅了され始めました。後にウッズは、ビコのことを「私が今までに知る特権を持っている中で(→私が今までに知る限り)、一番重要な政治指導者であり、確実に一番偉大な人物だ」と形容したものでした。ウッズは英知、ユーモア、思いやり、知性をビコの美点だと考えていました。
その時からずっと、政府からの激しい批判的な反応にもかかわらず、ウッズはビコとビコの活動を支持し続けました。ビコがデイリー・ディスパッチ紙が黒人記者を雇うべきだと提案したとき、ウッズは重役会を説得して、ウッズの編集室で働く2人の黒人を雇いました――1人は男性、1人は女性でした。当時の厳しい分離政策の下では、控えめに言っても、これは議論を呼ぶ動きでした。
Part 3
break a news ニュースを報道する
recent 最近の
come to an end 終わる、終わりを迎える
at least 少なくとも
the physical sense 肉体的な意味
arrest 逮捕する
place ~ under house arrest ~を自宅監禁する
the authorities 当局
detain 監禁する、拘留する
beat‐beat‐beaten 打つ、殴る、打ち破る
beat ~ to death ~を打って・殴って死なせる
cause 原因
frame 枠で囲む、組み立てる
in black 黒色で
letter size 文字の大きさ
normally 普通は、通常は
reserve とっておく、保存する
announce 知らせる
fill A with B AをBで満たす・一杯にする
headline 見出し
custody 監禁、拘留、管理
order 命令、注文、秩序
clear A with B AについてのBの許可・承認を得る
headquarters 本部、司令部、本社
be on a hunger strike ハンガーストライキ・ハンストをする
morgue 遺体安置所
badly ひどく
injure 傷つく
body 死体
murder 殺す
expose 暴く、暴露する、さらす
brutality 残忍性、残虐行為
injustice 不正、不公平
charge 人 with 罪 人を罪で告発する
publicly 公式に、社会の名において
attribute A to B AをBのせいにする
suicide 自殺
far from ~ ~から遠い、~とはまったく違う
let alone ~ ~は言うまでもなく、まして~ない
besides ~ ~のほかさらに、~に加えて
run a well‐respected newspaper 高く尊敬される新聞を経営する
put ~ under house arrest ~を自宅監禁する
forbid‐forbade‐forbidden 禁じる
numerous 数多くの
threat 脅し、脅迫
health 健康
safety 安全
ビコとの友情が少なくとも肉体的な意味で終わりを告げたときに、ウッズは近年の南アフリカの歴史で一番重要なニュースの1つを伝えました。1977年、当局によって自宅監禁されていた30歳になるビコは、警察によって拘留され、拷問の末、死にました。そのときにはまだ死因を知らなかったのですが、ウッズは第1面を黒く縁取り、普通は戦争の勃発を伝えたり、平和の到来を告げるときのために取っておく文字の大きさで、第1面を「ビコ、拘留中に死亡!」という見出しでいっぱいにしました。これは、警察の活動に関するいかなる記事も、プレトリアの警察本部の承認を得なければいけないという政府命令に反するものでした。
政府は後に、ビコはハンガーストライキ中に死亡したと発表しました。ビコの奥さんと写真家とウッズは遺体安置所に行って、ビコのひどく傷ついた遺体の写真を撮りました。この写真は、後にウッズの本に載ることになり、当局がビコを殺したことを証明することになりました。ウッズの本は、アパルトヘイト制度の残忍さと不公平さを暴き、公式には自殺やハンガーストライキのせいで死亡したとされていた他の20人全員の反アパルトヘイト活動家を殺した罪で政府を告発するのに役立ちました。
しかし、高く尊敬される新聞を発行しているうえに、ウッズは大家族の父親でしたから、ウッズがこの本を出版するのはもとより、書くことさえ簡単なことではありませんでした。ビコとの友情のために、ウッズも自宅監禁されていて、書くことを禁じられていたのです。ウッズは、自分自身と家族の健康と安全に対する数多くの脅迫を受けていました。
Part 4
finally ついに、最終的に
security 安全、防衛
force 力、軍事力
security forces 治安部隊
intercept 途中で奪う
package 小包
T‐shirt Tシャツ
intend 意図する、向ける
spray スプレーする
chemical 化学薬品
agent 化学薬品、薬剤
upon arrival 届くとすぐに、着くとすぐに
try ~ on ~を着る
immediately すぐに、即座に
following ~ ~の後、~の結果
incident 事件
escape 逃げる、逃れる
manuscript 原稿
disguise 変装する
Catholic カトリックの
priest 司祭
hitchhike ヒッチハイクする
passport パスポート
be joined by ~ ~と合流する
as a family 家族として、家族一緒に
fly to ~ ~に飛行機で行く
campaign against ~ ~に反対する運動をする
actively 積極的に、活発に
private 個人の立場の、秘密の、民間の
private citizen 普通の市民、一般人、私人
address 演説する
council 協議会、会議
brutal 野蛮な、残酷な
operation 活動、施行、作戦、戦略、軍事行動
release A from B AをBから解放する
prison 刑務所
serve 服役する、任務を果たす
attend 出席する
tribute 感謝の印、賛辞
express 言い表す
phone 電話をかける
amply 十分に、たっぷり
initiate 起こす、始める
remind 人 of ~ 人に~を思い出させる
liberty 自由
press 論評、報道機関、圧力
the liberty of the press 報道・言論・出版の自由
state 国家、状態、身分
ついに、南アフリカの治安部隊が、ウッズの女の子供たちにあてて送られたTシャツの入った小包を途中で奪って、化学物質をTシャツにスプレーするところまできました(→スプレーするほど事態が悪化しました)。Tシャツが届くとすぐに、子供たちは着てみました。そして化学薬品によってすぐに傷を負いました。
この事件の後、本のための原稿を携え、ウッズはイギリスに脱出しました。ウッズ自身、カトリックの司祭に変装して、480kmの道のりをヒッチハイクして、偽造パスポートを使わなければいけませんでした。ウッズは、レソト王国で家族と合流し、そこから家族一緒に国連のパスポートでロンドンまで飛行機で行きました。ウッズの本が出版されたイギリスで、ウッズはアパルトヘイトに反対して積極的に運動を展開しました。また、ウッズは、国民党の残忍な活動に関して演説をしたとき、国際連合安全保障理事会で演説する最初の私人になりました。
1990年2月、ネルソン・マンデラが27年間の服役の末、刑務所から解放されました。同年4月に、アパルトヘイトに反対する運動を27年間ずっと続けてくれたイギリスの人々に感謝を表すために、ウェンブリー・スタジアムでの「ネルソン・マンデラ : 自由な南アフリカのための国際祝賀会」と題するコンサート(→釈放記念コンサート)に出席するために、マンデラはロンドンにやって来ました。コンサートの前の日にウッズはマンデラに、アフリカ民族会議のイ(メージカラーの)黒と緑と金色のネクタイを送りました。マンデラは電話をかけて、ウッズにネクタイのお礼を言い、コンサートでネクタイをつけると話しました。実際に、マンデラは(ウッズの贈った)ネクタイを締めていました。
ドナルド・ウッズの仕事と人生は、優れたジャーナリズムの力が変化を引き起こすことを証明し、そして、国家の自由を保障するためには報道の自由が大切だということを思い出させてくれます。
Donald Woods:
Real Journalism Takes Courage
ドナルド・ウッズ:
真のジャーナリズムは勇気を必要とする
Part 1
journalism ジャーナリズム、報道業界
take 必要とする
courage 勇気
ordinary 普通の、一般の
citizen 市民
journalist ジャーナリスト
editor 編集者、編集長
dispatch 特報、(急に・特別に)派遣する
certainly 確かに
countless 数えきれないほどたくさんの、無数の
cruel 残酷な、残忍な
apartheid system アパルトヘイトの制度・政策
onward 前方へ
from ~ onward ~から先に
introduce 導入する
force 人 to ― 人に―することを強制する
apart 離れて、別々に
prohibit 禁止する
mixed marriage 異なった宗教・人種間の結婚・異人種間結婚
limit 制限する
in many ways いろんな方法で、いろんな点で
deprive 奪う
deprive 人 of モノ 人からモノを奪う
vote 投票する
right 権利
movement 運動、活動
political activity 政治活動
wealthy 裕福な
legal 法律の
question 異議を唱える、疑う、質問する
racial 民族の
segregation 人種差別、分離
accompany 伴う
injustice 不正、不公平
correspondent 特派員
editor‐in‐chief 編集長、編集主幹
critically 批判的に
analyze 分析する
action 行動
opposition 反対(派)の
succeed in ― ing ―することに成功する
coverage 報道、取材範囲
despite ~ ~にもかかわらず
background 背景、生い立ち、経歴
by ― ing ―することによって
run the story その記事を載せる
prominent 目立った、卓越した、著名な
publication 出版物、出版
brave 勇敢な
due 正当な、当然支払われるべき、期日が来ている
principle 根本方針、行動規範、原理、原則
newsroom 編集室
glimmer かすかな光、かすかに光る
a glimmer of ~ 少量の~、かすかな~
seek 探す
confused 混乱した
良いジャーナリズムは、一般の市民の人生を変えることもよくあります。デイリー・ディスパッチ紙の記者であり編集者でもあるドナルド・ウッズは、残酷なアパルトヘイト制度のもとで暮らしていた南アフリカの数知れない人たちの人生を確実に変えました。
1948年以降、南アフリカの国民党政府によって導入された法律は、黒人と白人に別れて生活するように強制し、異人種間の結婚を禁止し、多くの点で黒人の権利を制限しました。例えば、黒人たちは投票権と、移動や政治活動の自由を奪われました。
ウッズは、1933年に南アフリカのイースト・ロンドンの裕福な家庭に生まれ、アパルトヘイト制度を受け入れながら成長しました。ウッズが人種差別制度とそれに伴う不公平に疑問を感じ始めたのは、ケープタウン大学で法律を学ぶ学生の時でした。1950年代後半からずっと、ウッズは南アフリカの内外の様々な新聞の特派員として、編集者として経験を積んで、1965年にデイリー・ディスパッチ紙の編集長になりました。
デイリー・ディスパッチ紙の編集長として、ウッズは、国民党政府の行動と反対勢力の行動の両方を批判的に分析しました。自分の個人的な生い立ちにもかかわらず、公正な政治報道を行うことに成功しました。他のどんな優れた出版物も発表する勇気が十分にはなかった記事を載せることによって、そして、批判が正当性を持つときには政府と反対勢力の両方を批判することによって、ウッズは編集部に勇気と基本方針をもたらし、混乱の1970年代に新しい道を探っていた南アフリカの人々に希望のかすかな光を与えました。
Part 2
be remembered for ~ ~のために記憶される
give a voice to ~ ~に発言権を与える、~に発表の場を与える
consciousness 意識
grass‐roots 草の根の
resistance 抵抗
the policy of apartheid アパルトヘイト政策
insist that ~動詞の原形~ ~を主張する
take pride in ~ ~を誇りに思う
blackness 黒人であること、黒人としての自覚
crucial きわめて重大な
step 一歩、一段階
liberation 解放、解放運動
at first 最初は、初めは
disapprove 非難する
disapprove of ~ ~に不賛成を唱える、~を非とする
be under the impression that ~ ~と言う(間違った)印象を持っている、~と思い違いをしている
discrimination 差別
namely すなわち
supporter 支持者、支援者
criticize 批判する
misleading 惑わせる、人を誤らせる、誤解を招きやすい
article 記事
meet with ~ ~と会談する
anti‐apartheid activist 反アパルトヘイト活動家
opponent 敵対者、相手
lead‐led‐led 導く、指導する
nation 国家、国民
the beginning of ~ ~の始まり
accurate 正確な
what ~ be about ~はどのようなものなのか、~について
fascinate 魅了する
describe A as B AをBとして述べる・言い表す
privilege 特権
virtue 美徳、長所
count A among B AをBの中の1つと見なす・考える
wisdom 知恵、英知、学問
compassion 思いやり、深い同情
intellect 知性、知力
from then on それ以来・以降
fiercely どうもうに、激しく
negative 否定的な、批判的な、反対の
reaction 反応
suggest that ~動詞の原形~ ~と言うことを提案する・示唆する
hire 雇う
reporter 記者
persuade 説得する
persuade 人 to ― 人に―するように説得する
employ 雇う
to say the least 控え目に言っても、少なくとも
controversial 議論の余地がある
strict 厳しい
at the time 当時、その頃
ウッズは黒人意識運動に発表の場を与えたことで記憶されています。黒人意識運動はアパルトヘイト政策に抵抗し、黒人のさらなる権利を要求する草の根運動でした。黒人意識運動は、個人解放での重要な一歩として黒人(自身)が黒人であることに誇りを持つようにとも主張していました。
しかし、最初のうちは、黒人意識運動は差別のもう一つの形態にすぎない、すなわち、黒人の側からの白人に対する(逆)差別にすぎないという(間違った)印象を、ウッズが持っていたために、ディスパッチ紙は黒人意識運動に賛同していませんでした。黒人意識運動に関して(人々の)誤解を招く記事をウッズが書いたとして黒人意識運動の支持者たちが批判し始めると、ウッズはスティーブ・ビコと会談することに合意しました。ビコは、国の黒人意識運動を指導する反アパルトヘイト活動家で、政府に敵対する人でした。
この会談は、2人の間の強い友情の始まりになりました。ウッズは黒人意識運動についてのより正確な理解を得て、ビコに魅了され始めました。後にウッズは、ビコのことを「私が今までに知る特権を持っている中で(→私が今までに知る限り)、一番重要な政治指導者であり、確実に一番偉大な人物だ」と形容したものでした。ウッズは英知、ユーモア、思いやり、知性をビコの美点だと考えていました。
その時からずっと、政府からの激しい批判的な反応にもかかわらず、ウッズはビコとビコの活動を支持し続けました。ビコがデイリー・ディスパッチ紙が黒人記者を雇うべきだと提案したとき、ウッズは重役会を説得して、ウッズの編集室で働く2人の黒人を雇いました――1人は男性、1人は女性でした。当時の厳しい分離政策の下では、控えめに言っても、これは議論を呼ぶ動きでした。
Part 3
break a news ニュースを報道する
recent 最近の
come to an end 終わる、終わりを迎える
at least 少なくとも
the physical sense 肉体的な意味
arrest 逮捕する
place ~ under house arrest ~を自宅監禁する
the authorities 当局
detain 監禁する、拘留する
beat‐beat‐beaten 打つ、殴る、打ち破る
beat ~ to death ~を打って・殴って死なせる
cause 原因
frame 枠で囲む、組み立てる
in black 黒色で
letter size 文字の大きさ
normally 普通は、通常は
reserve とっておく、保存する
announce 知らせる
fill A with B AをBで満たす・一杯にする
headline 見出し
custody 監禁、拘留、管理
order 命令、注文、秩序
clear A with B AについてのBの許可・承認を得る
headquarters 本部、司令部、本社
be on a hunger strike ハンガーストライキ・ハンストをする
morgue 遺体安置所
badly ひどく
injure 傷つく
body 死体
murder 殺す
expose 暴く、暴露する、さらす
brutality 残忍性、残虐行為
injustice 不正、不公平
charge 人 with 罪 人を罪で告発する
publicly 公式に、社会の名において
attribute A to B AをBのせいにする
suicide 自殺
far from ~ ~から遠い、~とはまったく違う
let alone ~ ~は言うまでもなく、まして~ない
besides ~ ~のほかさらに、~に加えて
run a well‐respected newspaper 高く尊敬される新聞を経営する
put ~ under house arrest ~を自宅監禁する
forbid‐forbade‐forbidden 禁じる
numerous 数多くの
threat 脅し、脅迫
health 健康
safety 安全
ビコとの友情が少なくとも肉体的な意味で終わりを告げたときに、ウッズは近年の南アフリカの歴史で一番重要なニュースの1つを伝えました。1977年、当局によって自宅監禁されていた30歳になるビコは、警察によって拘留され、拷問の末、死にました。そのときにはまだ死因を知らなかったのですが、ウッズは第1面を黒く縁取り、普通は戦争の勃発を伝えたり、平和の到来を告げるときのために取っておく文字の大きさで、第1面を「ビコ、拘留中に死亡!」という見出しでいっぱいにしました。これは、警察の活動に関するいかなる記事も、プレトリアの警察本部の承認を得なければいけないという政府命令に反するものでした。
政府は後に、ビコはハンガーストライキ中に死亡したと発表しました。ビコの奥さんと写真家とウッズは遺体安置所に行って、ビコのひどく傷ついた遺体の写真を撮りました。この写真は、後にウッズの本に載ることになり、当局がビコを殺したことを証明することになりました。ウッズの本は、アパルトヘイト制度の残忍さと不公平さを暴き、公式には自殺やハンガーストライキのせいで死亡したとされていた他の20人全員の反アパルトヘイト活動家を殺した罪で政府を告発するのに役立ちました。
しかし、高く尊敬される新聞を発行しているうえに、ウッズは大家族の父親でしたから、ウッズがこの本を出版するのはもとより、書くことさえ簡単なことではありませんでした。ビコとの友情のために、ウッズも自宅監禁されていて、書くことを禁じられていたのです。ウッズは、自分自身と家族の健康と安全に対する数多くの脅迫を受けていました。
Part 4
finally ついに、最終的に
security 安全、防衛
force 力、軍事力
security forces 治安部隊
intercept 途中で奪う
package 小包
T‐shirt Tシャツ
intend 意図する、向ける
spray スプレーする
chemical 化学薬品
agent 化学薬品、薬剤
upon arrival 届くとすぐに、着くとすぐに
try ~ on ~を着る
immediately すぐに、即座に
following ~ ~の後、~の結果
incident 事件
escape 逃げる、逃れる
manuscript 原稿
disguise 変装する
Catholic カトリックの
priest 司祭
hitchhike ヒッチハイクする
passport パスポート
be joined by ~ ~と合流する
as a family 家族として、家族一緒に
fly to ~ ~に飛行機で行く
campaign against ~ ~に反対する運動をする
actively 積極的に、活発に
private 個人の立場の、秘密の、民間の
private citizen 普通の市民、一般人、私人
address 演説する
council 協議会、会議
brutal 野蛮な、残酷な
operation 活動、施行、作戦、戦略、軍事行動
release A from B AをBから解放する
prison 刑務所
serve 服役する、任務を果たす
attend 出席する
tribute 感謝の印、賛辞
express 言い表す
phone 電話をかける
amply 十分に、たっぷり
initiate 起こす、始める
remind 人 of ~ 人に~を思い出させる
liberty 自由
press 論評、報道機関、圧力
the liberty of the press 報道・言論・出版の自由
state 国家、状態、身分
ついに、南アフリカの治安部隊が、ウッズの女の子供たちにあてて送られたTシャツの入った小包を途中で奪って、化学物質をTシャツにスプレーするところまできました(→スプレーするほど事態が悪化しました)。Tシャツが届くとすぐに、子供たちは着てみました。そして化学薬品によってすぐに傷を負いました。
この事件の後、本のための原稿を携え、ウッズはイギリスに脱出しました。ウッズ自身、カトリックの司祭に変装して、480kmの道のりをヒッチハイクして、偽造パスポートを使わなければいけませんでした。ウッズは、レソト王国で家族と合流し、そこから家族一緒に国連のパスポートでロンドンまで飛行機で行きました。ウッズの本が出版されたイギリスで、ウッズはアパルトヘイトに反対して積極的に運動を展開しました。また、ウッズは、国民党の残忍な活動に関して演説をしたとき、国際連合安全保障理事会で演説する最初の私人になりました。
1990年2月、ネルソン・マンデラが27年間の服役の末、刑務所から解放されました。同年4月に、アパルトヘイトに反対する運動を27年間ずっと続けてくれたイギリスの人々に感謝を表すために、ウェンブリー・スタジアムでの「ネルソン・マンデラ : 自由な南アフリカのための国際祝賀会」と題するコンサート(→釈放記念コンサート)に出席するために、マンデラはロンドンにやって来ました。コンサートの前の日にウッズはマンデラに、アフリカ民族会議のイ(メージカラーの)黒と緑と金色のネクタイを送りました。マンデラは電話をかけて、ウッズにネクタイのお礼を言い、コンサートでネクタイをつけると話しました。実際に、マンデラは(ウッズの贈った)ネクタイを締めていました。
ドナルド・ウッズの仕事と人生は、優れたジャーナリズムの力が変化を引き起こすことを証明し、そして、国家の自由を保障するためには報道の自由が大切だということを思い出させてくれます。
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