Genius 2 Lesson 7 単語の意味&本文和訳 保存倉庫

Lesson 7

Paul Klee : A Musical Painter
パウル・クレー:音楽の才能あふれる画家

Part 1

musical 音楽の、音楽の才能のある
enter ~ in one’s diary 日記に~を記入する
possess とりこにする、所有する
meaning 意味
excited 興奮した、ワクワクした
declaration 宣言
grow into ~ ~に成長する

dome ドーム、丸屋根、円蓋、大聖堂
direct 直接の
result 結果、成果
experience 経験
outline 輪郭
a number of ~ かなりの数の~
rectangle 長方形
read A as B AをBのように読む,AをBだと受け止める
successfully うまく、首尾よく
express 表現する、言い表す
atmosphere 雰囲気
dying ひどい、瀕死の
heat 熱、暑さ

be full of ~ ~で一杯である
impression 印象
arrival 到着
at once すぐに、直ちに
watercolour 水彩絵の具、水彩画
quarter 居住区、区域、4分の1
and later そして後になって、その後で
tender 優しい

clearly ハッキリと、明確に
essentially 本質的に
modern 現代の、現代的な
travel to ~ ~に旅をする、~を旅行する
capture 捕まえる
canvas カンバス
that is すなわち
fierce 荒々しい、激しい、実に悪い、素晴らしい、元気のいい
romantic 空想的な、神秘的な、非現実的な
decide 決定する、考える、判断する、結論を下す
be made from ~ ~で出来ている
paint 絵の具
story‐telling 物語を話すこと、うそをつくこと
A is to B what C is to D . A:B=C:D。AがBに対する○〇はCがDに対する○〇と同じ。
respond to ~  ~に応える・反応する・一致する
effectively 効果的に
integrate A into B AをBに統合する・融合させる・結びつける


1914年4月16日、チュニジアに短期滞在しているときに、パウル・クレーは日記にこう書きました。「色彩が僕をとりこにする。…中略…それは、この至福の時を意味する。色彩と僕は一つになる。僕は画家になる」 今、真の画家になったと興奮気味に宣言したとき、クレーはすでに34歳でした。

「赤と白の円蓋(ドーム)」(図1)は、クレーのチュニジア経験の直接の成果です。ドーム自体の輪郭と、窓のように受け取ることの可能なかなりの数の(→窓とおぼしきいくつかの)小さな長方形が、その日のひどい暑さに包まれた北アフリカの街の雰囲気をうまく表現しています。「僕の頭は昨夜の散歩の印象で一杯だ」と、クレーはチュニスに着いた次の日に書き記しました。「僕はすぐに創作に取りかかって、アラブ人街で水彩絵の具で絵を描いた」 さらに後で、「色彩がはっきりしているのと同じくらい優しい色彩の夜だ」とも書いています。

その水彩画(=「赤と白の円蓋(ドーム)」)は、絵画に関するクレーの考えが既に本質的に現代絵画の考えになっていたことを、はっきりと示しています。19世紀に北アフリカを旅した多くのヨーロッパの画家たちは、その場所の物語、すなわち、活気のある神秘的な北アフリカでの暮らし、をカンバスに捕らえよう(→カンバスの上に表現しよう)としました。絵画は物語を語ることで作られるのではなく、絵の具で出来ていると、そして、画家にとっての色彩は音楽家にとっての音と同じだと、クレーは既に結論づけていました。北アフリカで見つけた色彩と線に応えて、クレーは、印象が一杯に詰まった頭をこの絵の中に効果的に統合したのです。


Part 2

nationality 国籍
by birth   生まれは
by nationality 国籍は
train 訓練する
as a boy 子供の頃
learn to ― ―することを学ぶ、学んで―できるようになる
near‐professional プロに近い
standard 水準、基準、標準

marriage 結婚
regular 通常の、いつもの、定期的な
establish 確立する
freedom 自由
visual 視覚の、目に見える
act 行動を起こす、振る舞う
independently 独立して
act independently of ~ ~から離れて行動する・振る舞う
representation 何かを代わりに言い表すこと、表現、描写、代表制
analogy 類似、類似性、類推
perfect 完璧な、うってつけの
the perfect person to ― ―する最適の・うってつけの人物

graduate from ~  ~を卒業する
through ~ ~を通してずっと
career (専門的で一生の)仕事、天職
graduation 卒業
make up one’s mind 決心する
ambitious 大望を抱いた、野心のある
provincial 田舎の、田舎くさい
This is how ~ そのようにして~
come to ― ―するようになる
capital 都、首都、頭の

abstract 抽象的な
at the age of ~ ~歳の時に
provide 与える、提供する
artistic environment 芸術的環境
support 支える、支援する
quiet revolution 静かなる革命
wonder at ~ ~に驚く・驚嘆する
were to become ~ ~になることになる、~になる運命である
close friend 親友
colleague 同僚


パウル・クレーは1879年12月18日、スイスのベルンの近くで、生まれも国籍もドイツ人の音楽の先生ハンス・クレーの子供として生まれました。パウルのお母さんも音楽家としての訓練を受けていました。子供の頃、クレーはプロの基準の近くまでバイオリンを弾くことを学びました(→バイオリンを習っていて、ほとんどプロ級の腕前でした)。後に、ピアニストのリリー・シュトゥンプフと1906年に結婚した後、音楽の夕べはクレーの家族生活の通常の一部でした(→クレーの家族による音楽夜会が、定期的に家庭内で開かれていました)。表現から独立して振る舞う視覚芸術(→何かを描く手段としての絵画から独立した純粋な行為としての視覚芸術)の自由を確立する際、音楽との類似性はとても大切でした。クレーはこの類似性を理解するうってつけの人物でした。

1898年、クレーはベルンの高校を卒業しました。学校に通っている間ずっと、クレーは一生をかける仕事として音楽と絵画の間で決められないでいました(→迷っていました)。しかし、卒業をきっかけに決心しました。大志に満ちた田舎の若い芸術家が決心を固めなければいけないときが来たのです――どこで美術を学ぶべきか? クレーはミュンヘンを選びました。「僕はパリとドイツのどちらかを選ばなければいけなかった。ドイツに対する感情の方が強かった。こうしてバイエルンの都に行くことになった」と、後に説明しました。

最初の抽象画家の1人ワシリー・カンディンスキーは、若いクレーがミュンヘンへ行くほんの2年前、1896年に30歳の時にロシアからミュンヘンに到着していました。ミュンヘンは、カンディンスキーと彼の(巻き起こした)静かな革命を支えてくれる芸術的環境を与えてくれました。クレーはカンディンスキーの奇妙で新しい絵画に驚嘆し、後に2人の芸術家(=カンディンスキーとクレー)はバウハウスで長年にわたって、親友であり同僚となるのでした。


Part 3

skilful = skillful 熟練した、腕のいい
experimental 実験的な
craftsman 職人、名匠
variety 多様性
a great variety of ~ とてもさまざまな種類の~
technique 技法、技術

very seldom ごくまれにしか~ない
stretch 張る、伸ばす
canvas カンバス(=画布=がふ)、キャンバス(=帆布=はんぷ)
allow 人・物 to ― 人・物が―するのを許す
edge 端、縁
frame frame 枠、額縁
lay‐laid‐laid‐laying 横にする
board 板、平板、掲示板、委員会

drawing 線描、スケッチ、デッサン
fix 固定する
sheet 布、敷布
margin 余白、余裕
title 題名
seek to ― ―しようとする・試みる
illusion 幻想
life 実物、本物、生命、生物、生活、人生
beyond ~  ~を越えて
That is why ~ そんなわけで~、だから~
concrete 具体的な
material 物質の、物質的な、材料
nature 性質、特質

ballon 気球、風船
in oil 油絵で
muslin 綿モスリン、モスリン織りの綿織物
prime with ~ ~で下塗りする
chalk チョーク
plane 平面
bound 縁取る、~を制限する、~の境界となる
be bounded by ~ ~で縁取られる、~と境界を接する
most would agree ほとんどの人は同意するでしょう
major 主な、主要な

thoughtless 思いやりのない、考え不足の、考える能力のない
the thoughtless 考えの足りない人
childish 子供っぽい
a group of ~ ~の一種・一群
probably おそらく、たぶん
compare A with B  AとBを比較する
moon‐faced お月さんのような真ん丸い顔をした
round 丸い
head 顔、頭
in future years 将来

content 内容
construction 構成、作図、建設
rest A on B  AをBに載せる
twin 双子の、一対の、相互に関連する2つの
support 土台、支柱、支持、援助
geometry 幾何学
seriously 真剣に
design デザインlead‐led‐led 導く、連れて行く
lead 人 to ― 人を―する気にさせる・―するように仕向ける
consider  よく考える、熟考する
relation 関係
circle 円、丸
square 正方形、四角、広場
play ~ off ~を競合させる・張り合わせる
play against ~  ~と対戦する
play A off against B AとBを争わせて利益を得る・漁夫の利を得る


クレーは、とても多様な絵画技法を試み完成させた腕のいい実験的な職人でした。ほとんど(裏まで)引き伸ばされた帆布(=普通のタイプのカンバス)を使いませんでした。帆布を使うときでも、帆布を額縁に入れてしまわないで、板の上に帆布を貼り付けて、端っこが見えるようにしました。クレーの線画と水彩画は、さらに大きな1枚の布に固定されていることが多く、タイトルを書く余白を残しています。クレーは額縁を越えて実物の幻想を作ろうとはしませんでした。そのためクレーの作品は、いつもとても具体的で物質的な性質を内包していました。

「赤い気球」(図2)は油絵で(描かれていま)す。チョークで下塗りされ、板に固定された綿モスリンに描かれています。ほぼすべての場所で色彩の平面は、線によって(境界が)縁どられています。この点がこの絵と「赤と白の円蓋(ドーム)」との間の主な違いだということは、ほとんどの方が納得することでしょう。

「セネシオ」(図3)はクレーの一番有名な作品の1つですが、考えの足りない人は「子供っぽい」と呼んでしまうかもしれない作品のうちの1つです。セネシオとは植物のグループの名前です。クレーはおそらく、お月様のようなまん丸顔の人物とセネシオの丸い花を比べているのでしょう。クレーは、この後もこうした丸い顔にしばしば戻ったものでした(→繰り返しよく描いています)。絵の内容も構成も両方とも、クレーにとっては大切でした。クレーの芸術は、自然と幾何学の2つの相互に関連する土台に載っていました。抽象的なデザインについて真剣に考える人ならだれでも、丸と四角の間の関係をすぐに考えさせられるに違いありません。「赤い気球」と「セネシオ」は、円と正方形を効果的に戦わせる異なった表現方法(→丸と四角の相乗効果を表現する別々の方法)を示しています。


Part 4

invite 人 to 場所 人を場所に招待する
found 設立する
in ~ sense ~の意味で
be famous for ~ ~で有名である
approach 接近、方法、取り組み
combine 結びつける、結合させる
fine art 美術
craft 工芸、手工芸(品)、商売
architecture 建築

prove 証明する
be good at ~ ~が得意・上手である
explain 説明する
procedure 手続き、方法
largely 大部分は、主として
unconscious 無意識の
a man of ~ ~の人
intuition 直観
unlike ~ ~とは違って
logic 論理
logical 論理的な
justification 正当化

continue to ― ―し続ける
productive 創造的な、制作の多い、多作な
throughout ~ ~を通してずっと
resign 辞職する、やめる
post 地位、職、持ち場

botanical 植物の
theatre 劇場
count 考える、数える
count A as B AをBだと見なす、AをBとして数える
highly 高度に、きわめて
developed 発達した、熟成した
whole 全体の
output 芸術活動、生産高
unusual 普通とは違って、まれな、異例の
work on ~  ~に取り組む
period 期間

castle 城
the woods 森
too easily あまりにも簡単に
criticize 非難する、けなす、批評する
pattern パターン、繰り返し、デザイン
repetition 繰り返し、反復
a variety of ~  様々な~
detail 細部、詳細
extend to ~  ~に伸ばす・及ぶ・拡大する
curious 奇妙な、好奇心の強い
resemblance 類似、類似点・度
score 楽譜、得点、20

polyphony ポリフォニー、多声音楽
fruit 成果、果実、果物
preparation 準備
intensive 激しい、徹底的な、集中的な
thought 考え、考察、思想
quality 特性、性質、本質

these few examples このようないくつかの実例・代表例
creative 創作力のある、創造的な
repeat oneself 自分自身を繰り返す、まねる
bring A closer to B AをBにもっと近づける
play a ~ role in ……  ……で~な役割を演じる
development 発達、発展
remind 人 of モノ 人にモノを思い出させる
critic 評論家
constantly 絶え間なく、常に、しきりに
aspire 切望する
condition 状態


1921年、クレーはワイマールにあるバウハウスで教えるために招かれました。1919年に創立されたバウハウスは、普通の意味での美術学校ではありませんでした。美術だけではなく、工芸と建築を含むすべての芸術を統合したデザインへの新しい取り組みで有名でした。クレーは、大部分は無意識の芸術的な手法を説明するのがとてもうまいことを証明しました。すべての芸術家と同じように、クレーは直観の人でした。ほとんどの芸術家とは違って、クレーは論理の人でもありました。クレーの信念は「絵の中で起こることはすべて、論理的正当性を持っていなければならない」というものでした。

クレーはバウハウスで教えている年月を通してずっと、そしてバウハウスでの職を辞した後も、画家として創作的であり続けました(→意欲的に創作を続けました)。

「植物の劇場」(図4)は、クレーの全芸術活動の中で一番高いレベルに達した作品の中の1つに数えなければいけません。普通とは違って、クレーはこの作品に10年もの長い期間、取り組みました。

「森の中に建てられる城」(図5)は、「繰り返し」として安易に批判されるかもしれません。確かに繰り返しが使われてはいますが、常に細部にわたる多様性を持って繰り返されています。まるで音楽のように(=音楽で主題が様々な形で変奏されるのと同じように)。音楽的な類似性は、楽譜との奇妙な類似性にまで及んでいます。

「ポリフォニー」(図6)は、長い技法的準備と絵画の持つ音楽的特質への徹底した考察の結実の1例です。

こうした数点の例だけであってもパウル・クレーが創造的であり続け、決して自分を模倣し繰り返さなかったことを示しています。絵画を音楽にもっと近づけることによって、クレーは現代絵画の発展に大きな役割を果たしました。このことは、19世紀のイギリスの評論家ウォルター・ペイターが「すべての芸術は、音楽の状態を常に希求する」と言ったことを思い起こさせてくれます。

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