Genius 2 Lesson 9 単語の意味&本文和訳 保存倉庫
Lesson 9
Michael J. Sandel on Kant:
Freedom and Morality
マイケル J.サンデル カントについて
自由と道徳
Part 1
freedom 自由
morality 道徳
frequently 頻繁に
seldom めったに~ない
stop to ― ―するために立ち止まる
tend to ― ―する傾向がある
think of A as B AをBと見なす、AをBだと考える
absence 欠席、ないこと
obstacle 障害、邪魔な物
what we want 私たちが望むもの
disagree 同意しない、賛成しない
stringent 厳しい、厳格な、緊急の
demanding 過度に要求する、過酷な
notion 考え
reason 推論する、考える、結論を下す
as follows 次のように
seek 求める、探す
pleasure 喜び
avoidance 回避、避けること
pain 痛み
act 行動する
freely 自由に
slave 奴隷
appetite 食欲
desire 願望、願う
whenever ~ ~する時はいつでも
satisfy 満足させる
for the sake of ~ ~のために
end 目的
assuage 満足させる、和らげる
hunger 飢え
slake いやす、和らげる
thirst のどの渇き
suppose 仮定する、考える、思う
flavor 味、風味
order 注文する
go for ~ ~を取りに・買いに行く、~を欲しがる
vanilla バニラ
espresso toffee crunch エスプレッソ・タフィー・クランチ
exercise 行使する、行う
freedom of choice 選択の自由
figure out ~ ~を理解する・解決する
preference 好み、嗜好
in the first place まず第1に、最初に、元来、元々
point 重点、ポイント
according to ~ ~によれば、~に従って
determination 決定
after all (文頭で)だって~だから、(文末で)結局~
rather than ~ ~よりもむしろ、~ではなく
I just have it.
autonomously 自律的に、独立して
law 法則、法律、法規範、行動原則
dictate 命令、指令
natural 自然の
social 社会の
convention 因習、しきたり、集会
私たちはよく「自由」を口にしますが、めったに自由とは何かについて考えるために立ち止まったりはしません。自由について考えるときは、自由とは望むことをする障害がないことだと考える傾向があります。カントはこれには同意しません。カントは自由についてもっと厳格で要求度の高い考えを持っています。
カントは次のように考えます。動物と同じように、私たちも喜びを求めようとしたり、あるいは、苦しみを避けようとするとき、本当は自由に行動してはいないのです。食欲と願望の奴隷として行動しているのです。なぜでしょうか? 願望を満たそうとしているときはいつでも、やることはすべて、外部から与えられた何らかの目的のためだからです。私は飢えを満たすためにこっちに行くのだし、のどの渇きをいやすためにあっちに行くのです。
何味のアイスクリームを注文すればいいか決めようとしているところを考えてみましょう。チョコレート、バニラ、エスプレッソ・タフィー・クランチ、どれにすべきでしょうか? 自分では選択の自由を行使していると思うかもしれませんが、実際にやっていることは、どの味が自分の好みを一番よく満足させてくれるのか解決しようとしているのです――元々、選ばなかった好みです(→好みは最初からそこに存在し、選び取ったものではないのです)。カントは、好みを満足させるのは悪いことだとは言いません。カントのポイントは、好みを満足させるときには、私たちは自由に行動しているのではなく、外部から与えられた決定に従って行動しているという点です。だって、私はバニラへの願望を選んだというよりもむしろエスプレッソ・タフィー・クランチへの願望を選んだのではなく、選ばされたのですから。ただ、エスプレッソ・タフィー・クランチを食べるだけです。
カントによれば、自由に行動することは自律的に行動することです。そして、自律的に行動するとは、自分が自分に課している行動規範に従って行動することです。――自然や社会的因習の命令に従うのではありません。
Part 2
contrast 対比させる、対照する
opposite 反対の
invent 発明する
capture 捕らえる
heteronomy 他律
heteronomously 他律的に
illustration 実例、説明
billiard ビリヤード
ground 地面
gravity 重力
the law of gravity 重力の法則
accidentally 偶然に、誤って
somewhere high どこか高いところ
hurtle 突進する、ビューンと落ちる
toward ~ ~の方へ
the earth 地面、地球
movement 動き、動作
govern 支配する
as with ~ ~の場合と同様に
land on ~ ~に着陸する
morally 道徳的に
be responsible for ~ ~に責任がある、~に原因がある
unfortunate 不運な
damage 損害、ダメージ
height 高さ
object 物体、物
autonomy 自律、自治権
responsibility 責任
link つながり
means 手段
human being 人間
カントが「自律的に行動すること」ということで意味しているものを理解する1つの方法は、自律をその反対のものと対比してみることです。カントはこの対比を理解するために言葉を発明しました――ヘテロノミー(他律)です。他律的に行動するときは、私は外部から与えられた決定に従って行動します。ここに例があります。ビリヤードのボールを落とすと、地面に落ちます。落ちるときには、自由には動いてはいません。ボールの動きは自然の法則によって支配されています――この場合は重力の法則です。
私がどこか高いところから誤って、落ちると想定しましょう。私が地面に向かって突進しているときに、私が自由に行動しているとは誰も言わないでしょう。私の動きは、ビリヤードのボールの場合と同じように、重力の法則に支配されているからです。
では、私が何かの上に着地して、それを壊したとしましょう。私にその不運な損害に対して道徳的な責任がないのは、ビリヤードのボールがとても高いところから落ちて誰かの頭に当たったとしても、ボールには責任がないのと同じです。どちらの場合も、落ちる物体は、私もビリヤードのボールも、自由に行動してはいないのです。どちらの場合も、落ちている物体は重力の法則に支配されているのです。自律はどこにもありませんから、道徳的な責任はどこにもありえません。
それでは、ここには、自律としての自由と、カントの考える道徳との間のつながりがあります。自由に行動することは、与えられた目的に対するベストな手段を選ぶということではありません。目的のために目的それ自体を選ぶということなのです。人には行えますが、ビリヤードのボール(それに、ほとんどの動物)には不可能な選択です。
Part 3
reply 答える
something else 何か他の物
instrument 道具、計器、手段
author 作者、作りだした人、創始者
purpose 目的
pursue 追求する
stand in ~ contrast to …… ……と~な対比を示す
stark くっきりした、際立った
in itself それ自体
cease to ― ―するのをやめる
action 行動
worth 価値、価値がある
consist in ~ ~にある
consequence 結果
flow 流れる
intention 意図
matter 大切である
motive 動機
of a certain kind ある特定の種類の
ulterior 隠された、今後の
morally 道徳的に
conform 従う、一致する
conform to ~ ~に従う・従って行動する
confer 与える、相談する
confer A on B BにAを授ける
duty 義務
なぜそんなに熱心に勉強するんだい、と聞かれて、「いい大学に入るためだよ」と答える生徒がいます。なぜいい大学に行きたいのって聞かれて、「いい仕事に就くためさ」と答えます。なぜいい職がほしいのって聞かれて、「お金をいっぱい稼ぐためじゃん」と答えます。
これが、カントが他律的決定(何か他の物のために何かを行うこと)と呼んだものの1例です。私たちは外部から与えられた目的のために行動しています。私たちは追い求める目的を作り出した人ではなく、道具にすぎないのです。
自律に関するカントの考えは、これとは際立った対比を示します。自分で自分に課している行動規範に従って自律的に行動するときには、そのこと自体のために、すなわち、目的それ自体として、そのことを行うのです。私たちは外部から与えられた目的の道具であることをやめます。
目的そのものであることは、行動に道徳的価値を与えるものでもあるということです。なぜなら、カントによれば、行動の道徳的価値は、この行動から出てくる結果にあるのではなく、行動がなされる意図にあるからです。大切なのは動機です。しかも、動機はある特定の種類でなければいけません。大切なのは、何か隠された動機のために行うのではなく、正しいから、正しいことを行うことです。
どのような行動でも道徳的によいものであるためには、道徳律に従っているというだけでは不十分です。――その行動は、道徳律のためにもなされなければいけません。そして、行動に道徳的な価値を授ける動機は、義務の動機なのです。
Part 4
for ~ reason ~の理由で
other than ~ ~以外……
self‐interest 自分の利益
lack ~を欠いている、~がない
maintain 主張する
attempt 試み
want 欲求
contrast A with B AとBを対比する
inclination 傾向
insist 主張する、言い張る
offer 提出する
bring out ~ ~を明らかにする
involve 関係する
prudent 慎重な、計算高い
shopkeeper 店主、お店のご主人
inexperienced 経験不足の、不慣れな
customer お客
, say, ~ 例えば~
grocery 食料雑貨店、食料品店
loaf ひとかたまり、一斤、パン1個
grocer 食料雑貨商・店主
overcharge 高値をふっかける、過剰請求する
charge 請求する
realize 理解する、気づく
discover 見つける
take advantage of ~ヒト・モノ~ 人の弱みにつけこむ、モノを利用する
word うわさ
spread 広まる
business 商売
deal with ~ ~を扱う・処理する
honestly 正直に、誠実に、適切に
protect 守る
reputation 評判
to conclude 終わりに言いますが、結論として言えば
independent 独立した
言い換えると、義務の動機から何かを行うことは、正しい理由のために正しいことを行うことです。もし義務以外の何かの動機から、例えば、自分の利益のためから行動するなら、その行動には道徳的価値がないことになります。これは自分の利益に当てはまるだけではなく、自分の欲求、願望、好み、食欲を満足させるどんな試みにも、そして、すべての試みにも当てはまる、とカントは主張します。カントは、自分で「傾向性の動機」と呼んでいる、今、述べた動機と義務の動機を対比しています。そして、義務の動機からなされた行動だけが道徳的価値を持っていると主張します。
カントは、義務(の動機)と傾向性(の動機)の間にある違いをはっきりさせる例を提示しています。計算高い店主に関するものです。例えば子供のような経験不足のお客さんがパンを一個買うために食料品店を訪れます。食料品店の店主はその人に高い値段をふっかけることができます――一切れのパンに対して通常の値段よりもたくさん請求できます――そして、その子は気づかないでしょう。しかし、もしこのようにして子供の弱みにつけ込んでいるのを他の人が見つけたら、うわさが広まって、商売に傷がつくかもしれない、と店主にはわかっています。この理由のために、店主はその子に高い値段を請求しないと決めるのです。店主は子供に通常の値段を請求します。そんなわけで、店主は正しいことを行うのです。しかし、それは間違った理由のためです。店主がその子を適切に扱うたった一つの理由は、自分の評判を守ることです。店主は自分の利益のためだけに適切に行動するのです。店主の行動には道徳的価値がないのです。
結論として述べると、カントは傾向性(の動機)から独立していることを選ぶことによってのみ人は自由あるいは道徳的でいられると主張しています。
Michael J. Sandel on Kant:
Freedom and Morality
マイケル J.サンデル カントについて
自由と道徳
Part 1
freedom 自由
morality 道徳
frequently 頻繁に
seldom めったに~ない
stop to ― ―するために立ち止まる
tend to ― ―する傾向がある
think of A as B AをBと見なす、AをBだと考える
absence 欠席、ないこと
obstacle 障害、邪魔な物
what we want 私たちが望むもの
disagree 同意しない、賛成しない
stringent 厳しい、厳格な、緊急の
demanding 過度に要求する、過酷な
notion 考え
reason 推論する、考える、結論を下す
as follows 次のように
seek 求める、探す
pleasure 喜び
avoidance 回避、避けること
pain 痛み
act 行動する
freely 自由に
slave 奴隷
appetite 食欲
desire 願望、願う
whenever ~ ~する時はいつでも
satisfy 満足させる
for the sake of ~ ~のために
end 目的
assuage 満足させる、和らげる
hunger 飢え
slake いやす、和らげる
thirst のどの渇き
suppose 仮定する、考える、思う
flavor 味、風味
order 注文する
go for ~ ~を取りに・買いに行く、~を欲しがる
vanilla バニラ
espresso toffee crunch エスプレッソ・タフィー・クランチ
exercise 行使する、行う
freedom of choice 選択の自由
figure out ~ ~を理解する・解決する
preference 好み、嗜好
in the first place まず第1に、最初に、元来、元々
point 重点、ポイント
according to ~ ~によれば、~に従って
determination 決定
after all (文頭で)だって~だから、(文末で)結局~
rather than ~ ~よりもむしろ、~ではなく
I just have it.
autonomously 自律的に、独立して
law 法則、法律、法規範、行動原則
dictate 命令、指令
natural 自然の
social 社会の
convention 因習、しきたり、集会
私たちはよく「自由」を口にしますが、めったに自由とは何かについて考えるために立ち止まったりはしません。自由について考えるときは、自由とは望むことをする障害がないことだと考える傾向があります。カントはこれには同意しません。カントは自由についてもっと厳格で要求度の高い考えを持っています。
カントは次のように考えます。動物と同じように、私たちも喜びを求めようとしたり、あるいは、苦しみを避けようとするとき、本当は自由に行動してはいないのです。食欲と願望の奴隷として行動しているのです。なぜでしょうか? 願望を満たそうとしているときはいつでも、やることはすべて、外部から与えられた何らかの目的のためだからです。私は飢えを満たすためにこっちに行くのだし、のどの渇きをいやすためにあっちに行くのです。
何味のアイスクリームを注文すればいいか決めようとしているところを考えてみましょう。チョコレート、バニラ、エスプレッソ・タフィー・クランチ、どれにすべきでしょうか? 自分では選択の自由を行使していると思うかもしれませんが、実際にやっていることは、どの味が自分の好みを一番よく満足させてくれるのか解決しようとしているのです――元々、選ばなかった好みです(→好みは最初からそこに存在し、選び取ったものではないのです)。カントは、好みを満足させるのは悪いことだとは言いません。カントのポイントは、好みを満足させるときには、私たちは自由に行動しているのではなく、外部から与えられた決定に従って行動しているという点です。だって、私はバニラへの願望を選んだというよりもむしろエスプレッソ・タフィー・クランチへの願望を選んだのではなく、選ばされたのですから。ただ、エスプレッソ・タフィー・クランチを食べるだけです。
カントによれば、自由に行動することは自律的に行動することです。そして、自律的に行動するとは、自分が自分に課している行動規範に従って行動することです。――自然や社会的因習の命令に従うのではありません。
Part 2
contrast 対比させる、対照する
opposite 反対の
invent 発明する
capture 捕らえる
heteronomy 他律
heteronomously 他律的に
illustration 実例、説明
billiard ビリヤード
ground 地面
gravity 重力
the law of gravity 重力の法則
accidentally 偶然に、誤って
somewhere high どこか高いところ
hurtle 突進する、ビューンと落ちる
toward ~ ~の方へ
the earth 地面、地球
movement 動き、動作
govern 支配する
as with ~ ~の場合と同様に
land on ~ ~に着陸する
morally 道徳的に
be responsible for ~ ~に責任がある、~に原因がある
unfortunate 不運な
damage 損害、ダメージ
height 高さ
object 物体、物
autonomy 自律、自治権
responsibility 責任
link つながり
means 手段
human being 人間
カントが「自律的に行動すること」ということで意味しているものを理解する1つの方法は、自律をその反対のものと対比してみることです。カントはこの対比を理解するために言葉を発明しました――ヘテロノミー(他律)です。他律的に行動するときは、私は外部から与えられた決定に従って行動します。ここに例があります。ビリヤードのボールを落とすと、地面に落ちます。落ちるときには、自由には動いてはいません。ボールの動きは自然の法則によって支配されています――この場合は重力の法則です。
私がどこか高いところから誤って、落ちると想定しましょう。私が地面に向かって突進しているときに、私が自由に行動しているとは誰も言わないでしょう。私の動きは、ビリヤードのボールの場合と同じように、重力の法則に支配されているからです。
では、私が何かの上に着地して、それを壊したとしましょう。私にその不運な損害に対して道徳的な責任がないのは、ビリヤードのボールがとても高いところから落ちて誰かの頭に当たったとしても、ボールには責任がないのと同じです。どちらの場合も、落ちる物体は、私もビリヤードのボールも、自由に行動してはいないのです。どちらの場合も、落ちている物体は重力の法則に支配されているのです。自律はどこにもありませんから、道徳的な責任はどこにもありえません。
それでは、ここには、自律としての自由と、カントの考える道徳との間のつながりがあります。自由に行動することは、与えられた目的に対するベストな手段を選ぶということではありません。目的のために目的それ自体を選ぶということなのです。人には行えますが、ビリヤードのボール(それに、ほとんどの動物)には不可能な選択です。
Part 3
reply 答える
something else 何か他の物
instrument 道具、計器、手段
author 作者、作りだした人、創始者
purpose 目的
pursue 追求する
stand in ~ contrast to …… ……と~な対比を示す
stark くっきりした、際立った
in itself それ自体
cease to ― ―するのをやめる
action 行動
worth 価値、価値がある
consist in ~ ~にある
consequence 結果
flow 流れる
intention 意図
matter 大切である
motive 動機
of a certain kind ある特定の種類の
ulterior 隠された、今後の
morally 道徳的に
conform 従う、一致する
conform to ~ ~に従う・従って行動する
confer 与える、相談する
confer A on B BにAを授ける
duty 義務
なぜそんなに熱心に勉強するんだい、と聞かれて、「いい大学に入るためだよ」と答える生徒がいます。なぜいい大学に行きたいのって聞かれて、「いい仕事に就くためさ」と答えます。なぜいい職がほしいのって聞かれて、「お金をいっぱい稼ぐためじゃん」と答えます。
これが、カントが他律的決定(何か他の物のために何かを行うこと)と呼んだものの1例です。私たちは外部から与えられた目的のために行動しています。私たちは追い求める目的を作り出した人ではなく、道具にすぎないのです。
自律に関するカントの考えは、これとは際立った対比を示します。自分で自分に課している行動規範に従って自律的に行動するときには、そのこと自体のために、すなわち、目的それ自体として、そのことを行うのです。私たちは外部から与えられた目的の道具であることをやめます。
目的そのものであることは、行動に道徳的価値を与えるものでもあるということです。なぜなら、カントによれば、行動の道徳的価値は、この行動から出てくる結果にあるのではなく、行動がなされる意図にあるからです。大切なのは動機です。しかも、動機はある特定の種類でなければいけません。大切なのは、何か隠された動機のために行うのではなく、正しいから、正しいことを行うことです。
どのような行動でも道徳的によいものであるためには、道徳律に従っているというだけでは不十分です。――その行動は、道徳律のためにもなされなければいけません。そして、行動に道徳的な価値を授ける動機は、義務の動機なのです。
Part 4
for ~ reason ~の理由で
other than ~ ~以外……
self‐interest 自分の利益
lack ~を欠いている、~がない
maintain 主張する
attempt 試み
want 欲求
contrast A with B AとBを対比する
inclination 傾向
insist 主張する、言い張る
offer 提出する
bring out ~ ~を明らかにする
involve 関係する
prudent 慎重な、計算高い
shopkeeper 店主、お店のご主人
inexperienced 経験不足の、不慣れな
customer お客
, say, ~ 例えば~
grocery 食料雑貨店、食料品店
loaf ひとかたまり、一斤、パン1個
grocer 食料雑貨商・店主
overcharge 高値をふっかける、過剰請求する
charge 請求する
realize 理解する、気づく
discover 見つける
take advantage of ~ヒト・モノ~ 人の弱みにつけこむ、モノを利用する
word うわさ
spread 広まる
business 商売
deal with ~ ~を扱う・処理する
honestly 正直に、誠実に、適切に
protect 守る
reputation 評判
to conclude 終わりに言いますが、結論として言えば
independent 独立した
言い換えると、義務の動機から何かを行うことは、正しい理由のために正しいことを行うことです。もし義務以外の何かの動機から、例えば、自分の利益のためから行動するなら、その行動には道徳的価値がないことになります。これは自分の利益に当てはまるだけではなく、自分の欲求、願望、好み、食欲を満足させるどんな試みにも、そして、すべての試みにも当てはまる、とカントは主張します。カントは、自分で「傾向性の動機」と呼んでいる、今、述べた動機と義務の動機を対比しています。そして、義務の動機からなされた行動だけが道徳的価値を持っていると主張します。
カントは、義務(の動機)と傾向性(の動機)の間にある違いをはっきりさせる例を提示しています。計算高い店主に関するものです。例えば子供のような経験不足のお客さんがパンを一個買うために食料品店を訪れます。食料品店の店主はその人に高い値段をふっかけることができます――一切れのパンに対して通常の値段よりもたくさん請求できます――そして、その子は気づかないでしょう。しかし、もしこのようにして子供の弱みにつけ込んでいるのを他の人が見つけたら、うわさが広まって、商売に傷がつくかもしれない、と店主にはわかっています。この理由のために、店主はその子に高い値段を請求しないと決めるのです。店主は子供に通常の値段を請求します。そんなわけで、店主は正しいことを行うのです。しかし、それは間違った理由のためです。店主がその子を適切に扱うたった一つの理由は、自分の評判を守ることです。店主は自分の利益のためだけに適切に行動するのです。店主の行動には道徳的価値がないのです。
結論として述べると、カントは傾向性(の動機)から独立していることを選ぶことによってのみ人は自由あるいは道徳的でいられると主張しています。
コメント
コメントを投稿