Genius 3 Lesson 5 単語の意味&本文和訳 保存倉庫
Lesson 5
Practical Wisdom: What it Takes to Be Good at Work
実用的な知恵――仕事上手であるために必要なこと
practical 実用的な、実際的な、実践的な
wisdom 知恵
it takes ~ to ― ―するためには~が必要である
be good at ~ ~が上手・得意です
Part 1
形容詞 as it may sound ~のように聞こえるかもしれないが
moral 道徳の、道義的な、精神的な
virtuous 徳の高い、高潔な
in addition to ~ ~に加えて
abstract 抽象的な
begin with ~ ~で始まる・始める
take a look at ~ ~を見てみる
description 描写、説明
job description 職務内容規定、職務解説書
janitor 用務員、管理人
(本文に記載の仕事内容から考えて、病院の掃除担当の方ですから「掃除係(の人)」と訳しました)
item 項目
unremarkable ごくありふれた、どうということのない
mop モップをかける
sweep 掃く
empty 空にする
trash can ゴミ箱
restock 補充する
cabinet 棚
, etc など、等々
notice 気づく
even though ~ たとえ~だとしても
make a long list 長いリスト・一覧表を作る
single ただ1つの
not a single ただの1つの~もない
involve 関係する
human being 人間
can just as well A as B BできるのだからAはもちろんできる
fully-automated 完全に自動化されている
unmanned 無人の
factory 工場
yet しかし
psychologist 心理学者
interview インタビューする、面接する、聞き取り調査をする
find out what ~ 何が~なのかを見つける・調べる
what they thought their jobs were like 彼らが彼らの仕事がどのようなものだと考えているのか
encounter 出会う、遭遇する
get exercise 運動をする
build up his strength 体力をつける
walk up and down the hall 廊下を歩いて行ったり来たりする
ignore 無視する
supervisor 上司
admonition 忠告、注意
vacuum 掃除機をかける
lounge ラウンジ、待合室
at that moment そのとき
happen to ― たまたま―する
take a nap 昼寝をする、うたた寝をする
behavior 行動、振る舞い
staff 職員
not just ― ―するだけではない
actually 実際に
improve 改善する、向上させる
the quality of ~ ~の質
patient care 患者さんの世話、看護
enable 人 to ― 人が―するのを可能にする
run well 上手に運営する、うまくやって行く
変に聞こえるかもしれませんが、どんな仕事でもみんな道徳的な仕事なのです。仕事上手であるためには、君自身に徳が備わっていなくてはいけません。アリストテレスは、次のように信じていました――徳が備わっているためには、ソフィア、すなわち、抽象的な叡智に加えて、フロネーシス、すなわち、実践的な知が必要だ。
1つの例から始めてみましょう。病院の掃除係の人の職務規定を見てみると、病院の掃除係がこなす仕事の項目は、すべて大したことのないものです――床にモップをかけて、掃いて、ゴミ箱を空にして、棚を補充して、等々です。しかし、1つ注目されるべきなのは、たとえ職務規定は長いリストになっているとしても、リストには他の人に関わる項目がただの一つもないということです。掃除係の仕事は、病院で行うことができるのですから、完全に自動化された無人の工場でも行えるのはもちろんのことでしょう。
しかし、病院の掃除係の人が自分の仕事はどのようなものだと考えているのかを調べるために、心理学者が病院の掃除係に聞き取り調査をしたときに、心理学者は(掃除係の)マイクに会いました。マイクは床にモップがけするのをやめたときの様子を心理学者に話しました。(患者さんの)ジョーンズさんがベッドから出て、少し運動をして、体力をつけるために、廊下をゆっくりと行ったり来たり歩く(練習をする)から、マイクはモップをかけなかったのです。次に、心理学者はシャーリーンに会いました。シャーリーンは上司の注意を無視して、訪問者用の待合室に掃除機をかけなかったときの様子を話しました。毎日、1日中、待合室にいる家族が何人かいて、そのときたまたま、うたた寝をしていた家族がいたから、掃除機をかけなかったのです。
掃除係の人や他の職員のこうした行動は、みんなを少しいい気分にさせてくれるだけではありません。実際に、患者さんへのお世話の質を向上させ、病院がうまく運営できるようにしてくれます。
Part 2
not all ~ すべてが~というわけではない
(部分否定です)
the ones who are = the janitors who are like this このような(=マイクとシャーリーンの2人がとった気配りの行き届いたおもてなしができるような)掃除係の人たち
contain 含む
interaction 相互作用
involving ~ ~に関する
kindness 親切
care 世話、看護
empathy 共感、感情移入
essential 不可欠な、とても大切な、本質的な
moral will 道徳の意志
do right 正しい行いをする
by other people 他の人を基準にして
what is more さらにいいことに
moral skill 道徳の技、倫理の技術
figure out what ~ ~するものを理解する
the combination of A and B AとBの組み合わせ
wise 賢い
exception 例外
make an exception 例外を作る
duty 義務
in the service of ~ ~に奉仕することに、~を行うために
objective 目的、目標
in a word 一言で言うと
improvise 即興で行う
real-world 現実の世界の、実社会の
ambiguous 曖昧な
ill-defined 曖昧な、ハッキリしない
context 文脈、状況
jazz musician ジャズミュージシャン
note 音符
page (1枚の)紙
around ~ ~の周りで・を
invent 発明する、考え出す、作り出す
appropriate 適切な
at hand 身近にいる、今利用できる
aim 目的
serve 仕える、~のために働く
manipulate 操作する、動かす
finally 最後に、ついに
perhaps もしかして・ひょっとして~かもしれない
most importantly 一番大切なのは
depend on ~ ~に依存している
experience 経験
get to ― ―するようになる
the people that you’re serving 君が今奉仕している(その)人→お相手の人
permission 許可、認可
be allowed to ― ―することを許される
occasionally 時折、たまに、時として
fail 失敗する
failure 失敗
すべての掃除係の人が、この2人のようなわけではありません。しかし、この2人のような掃除係は、自分の仕事の職務規定が他の人について一言も書いてないにもかかわらず、親切、お世話、共感に関する、こういった種類の人との相互作用が、自分たちの仕事の本質的な部分だと考えています。こうした掃除係は、他の人にとって正しいことをするという道徳的な意志を持っています。さらにいいことに、「正しいことを行う」とはどういうことなのかを理解できる道徳的な技を持っています。
アリストテレスは「実践的な知は道徳的な意志と道徳的な技の組み合わさったものだ」と言いました。掃除係の人が他の目的を行うために、仕事の義務をいつ無視すればいいのかを知っていたように、知恵のある人は、すべての規則に例外をいつ、どのようにして作ればいいのかを知っているものです。一言でいうと、知恵のある人は、どのようにして改善すればいいのかを知っているのです。現実の世界の問題は曖昧で、ハッキリしないことが結構あります。状況はいつも変わっているのです。知恵のある人は、、ジャズミュージシャンに似ています――譜面にある音符を使いながら、しかし、音符の周りで踊りつつ、身近にある状況と人々にうまく合った組み合わせを考え出すのです。知恵のある人は、正しい目的を行うために、こうした道徳的な技を使う方法を知っています。他の人を操作するためではなく、他の人に奉仕するためだということです。
最後に、もしかしたら一番大切なことかもしれませんが、知恵のある人は生まれつきではなく、形作られるのです。知恵は経験に基づいています。しかも、どのような経験でもいいというわけではありません。相手の人のことを知るようになる時間が必要です。即興で(臨機応変に)行動し、新しいことをやってみて、時には失敗しても、失敗から何かを学ぶことが許されていることも必要です。
Part 3
behave 振る舞う
it takes experience to ― ―するには経験が必要だ
learn to ― ―することを学ぶ、学んで―できるようになる
do one’s job 自分の仕事をする
care for ~ ~の世話をする、~を大切に思っている
it takes time to ― ―するには時間がかかる
admire 賞賛する、高く評価する
brilliance 優れた頭脳・才能、頭のさえ
the good news is that ~ 良い知らせ・明るい話題は~です
the bad news is that ~ 悪い知らせは~です
get A into B AをBの中に入れる
trouble 困難、苦労、面倒なこと
lemonade レモネード
take 人 to 場所 人を場所に連れて行く
ballpark 野球場
ask for ~ ~を要求する・おねだりする
all they had was ~ お店の人たちが持っていたのは~だけでした
hard (飲み物が)アルコール分を含む
lemonade レモネード
alcohol アルコール
be aware of ~ ~を知っている、~に気づいている
security guard 警備員
ambulance 救急車
rush to ~ ~に急いで行く
whisk 人 to 場所 人を場所にサッと連れ去る
no trace of ~ ~の形跡・痕跡がまったくない
blood 血液
be ready to ― ―する準備ができている
hand over A to B AをBに手渡す
foster home 養家、里親の家庭、養子として預けられた家
judge 裁判官、判事
rule that ~ ~だと判決・裁定を下す
release 釈放・開放する、自由にする
only if ~ ~の場合に限って
move out of the house 家から引っ越す、家を出て行く
it was after ~ that …… ……するのは~した後でした
(分裂文=強調構文です)
reunite 再会させる
welfare worker 福祉関係の職員
hate to ― ―することを嫌う
follow procedure 手続きに従う
マイクやシャーリーンのような行動を取った掃除係の人は、自分の仕事を学んでできるようになるためには、多くの経験が必要だと言います。床のモップがけや、ゴミ箱を空にする方法を学ぶためにではなく、どのようにして人を気遣えばいいのかを身につけるためです。知恵のある掃除係になるには時間がかかるのです。
人は頭の良さを高く評価します。ありがたいことに、知恵があるためには、頭がいい必要はありません。困ったことに、知恵がなければ、頭の良さは十分ではありません。知恵のない頭の良さは、本人や他の人をトラブルに巻き込む可能性があります。
もう1つの例は、レモネードに関するものです。パパが7歳の子供を野球場に連れて行きました。男の子はレモネードをおねだりし、パパは買いに行きました。お店にあったのは、マイクのアルコール入りレモネードだけでした。5%のアルコール入りでした。パパはこの事実に気づいてはいませんでした。警備員は、男の子がアルコールの入ったレモネードを飲んでいるのを見て、警察を呼びました。警察官は救急車を呼び、救急車は野球場に急行し、子供を病院にサッと連れ去りました。その子の血液からはアルコールはまったく検出されませんでした。病院はパパに子供を引き渡す準備をしていました。
警察がダメだと言いました。子供は3日間、預かってくれる人の家に送られました。それから裁判官がこう裁定しました――パパが家を出て行った場合に限って、男の子は家に帰される。家族が再会したのは、2週間後のことでした。警察も、福祉関係の職員も、判事も、みんな同じことを言いました――「こうするのは嫌だけれど、手続きには従わなければいけないのです」
Part 4
journalist ジャーナリスト
National Public Radio ナショナル・パブリック・ラジオ
(非営利ラジオ放送局のために番組を製作・配給する米国の組織)
dumb バカな、バカげた
spare 人 from ― ing 人が―する手間を省く
to be fair 公平に見ると、公平な立場から言うと
impose 課す、強要する
previous 前の、以前の
official 高官、官僚、幹部職員
lax 甘い、手ぬるい
abusive 虐待する
household 世帯、家庭
fix 治す、修復する
go wrong 悪くなる
reach for ~ ~に手を伸ばす
handy 便利な、身近にあって役に立つ
truth 真実
get ~ to ― ~に―させる・してもらう
(使役動詞です)
increasingly ますますたくさん
turn to ~ ~の方を向く、~に頼る
in the short run 短期的には
in the long run 長期的には、長い目で見ると
chip away ~ ~を削り取る
reliance 依存
over-reliance on ~ ~に頼りすぎること
deprive 人 of モノ 人からモノを奪う
opportunity チャンス
improvisation 即興
without ― ing ―しないで
intend 意図する
appeal to ~ ~に訴える
wag war on ~ ~と戦う
certainly 確かに
politician 政治家
bureaucrat 官僚
business people 実業家、経営者
prevent 人 from ― ing 人が―するのを妨げる
accomplish 達成する、成就する
accomplished 優れた、熟練した
as a result 結果として
gift 才能
altogether まったく、完全に
as with ~ ~の場合と同じように、~のように
treat 扱う
particular 特定の
ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)でこの話をしたジャーナリストは、「規則と手続きがダメなのかもしれない、しかし規則と手続きは考える手間を省いてくれる」と言いました。公平に言えば、規則は押しつけられることが結構あります。以前の職員が手ぬるくて、ある子供が(子供を)虐待する家庭に帰るのを許したことがあるからです。(一旦)悪くなったものを修復するには、この便利な道具、すなわち規則に手を伸ばすものです。よりよい規則が欲しいと、より多くの規則が欲しくなるものです。
本当は、規則は(与えられた)仕事をこなすのには十分ではありません。あの2人の掃除係がしたことを、掃除係の人にしてもらう規則を、どうやって書けるというのでしょうか? ますますたくさん規則に頼るにつれて、短期的には規則が事態を改善してくれるのですが、長い目で見ると規則は事態をもっと悪くするということが、起きてしまいます(←「起きることは~です」を逆にして訳しています)。即興で何かを行うチャンスと、即興から何かを学ぶチャンスを私たちから奪うことになる規則に頼りすぎると、道徳的な技はなくなってしまいます。意図していなくても、規則に訴えることで、知恵と戦っているのです。
確かに規則は必要です。ほとんどのジャズミュージシャンは、譜面に音符が必要です。政治家、官僚、経営者には、さらに多くの規則が必要です。しかし、規則が多すぎると、優秀なジャズミュージシャンは、即興演奏ができなくなります。結果的に、才能を失い、演奏を完全にやめてしまいます。
掃除係の人の仕事と同じように、すべての仕事は、道義的責任上、正当に扱わなければいけない他の人との相互作用に関係しているということを覚えておくようにしましょう。そして、人を正しく扱うためには、特定の状況で何が正しいのかを知っておくためには、フロネーシス、すなわち、実践的な知が必要だということを覚えておくようにしましょう。
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