Genius 3 Lesson 4 単語の意味&本文和訳 保存倉庫

Lesson 4

Quest for Traditional Color
伝統色の探求

Part 1

delightful 嬉しい、楽しい、魅力的な
an elementary school 小学校
take part in ~  ~に参加する
alumnus (男子の)卒業生
have them experience 彼らに経験してもらう
the variety of ~ いろいろな~、さまざまな~
pervade ~中に広がる、普及させる
the Heian Period 平安時代
aristocratic   貴族の
court 宮廷、皇居、宮中
aristocratic court   貴族社会、宮中生活

dyeing technique 染める技術、染色技術
material 材料
goal 目標
have children ― 子供たちに―してもらう
try one’s hand at ~ ~をやってみる
come across ~ ~に偶然出会う
infinite 無限の
possibility 可能性

fortunate 幸運な、運のいい
extremely 極端に、とても
textile 織物
historian 歴史家
be involved in ~ ~に関わる、~に従事する
the revival of ~ ~の復活、~が復活すること
(主格の of です)
be related to ~ ~に関連のある
event 出来事、行事
ancient 古代の、古くからの
temples and shrines 寺院と神社、寺社
involve 含む、関係させる
the restoration of ~ ~の修復、~を修復する
(目的格の of です)
artifact 工芸品

nation 国家、国の
treasure 宝物
costume 衣装
recreate 再創造する
restore 修復する
original 元々の、起源の
glory 名誉、栄光、美しさ
it is ~名詞~ that …不完全な文… ……するのは、他ならない~です
(分裂文=強調構文です)
authentically 真正に、正式に、忠実に
pieces of artwork 数点の芸術品・工芸品
the field of dyeing 染色の分野
motto モットー、座右の銘


楽しい2日間で、京都のある小学校の子供たちは、自分たちの学校の卒業生が行う特別な授業に参加することができました。小学校には、子供たちに平安時代の貴族社会で広まっていたいろいろな色を経験してもらうために、吉岡幸雄さんがいました。こうした色は自然からの材料(→天然素材)を使う染色技術で作られました。吉岡さんの目標は、子供たちに家でもできる伝統的な染色技術を(実際に)やってもらうことでした。そうすることによって、子供たちは、以前は見たこともないような色に出会えて、自然にある色の無限の可能性を発見できるのです。

子供たちは幸運にも、吉岡さんと一緒に特別授業を受けることができました。吉岡さんは織物芸術家として、歴史研究家としてとても忙しいからです。吉岡さんは、東大寺や法隆寺や伊勢神宮のような、古くからの寺院や神社での伝統行事に関連した色をよみがえらせることに従事してきています。吉岡さんの仕事の1部は、古くからの工芸品を修復することも含んでいます。国宝や伝統衣装を作るために使われる技術を研究しています。それから、吉岡さんは、工芸品を元の美しさに修復するために、同じ技術をもう一度創り出しています。古くからの芸術作品を忠実に修復するために使われるべきなのは、現代の科学ではなく、伝統的な方法だと、吉岡さんは信じています。「鮮やかで、美しい色を作り出すことは染色の分野では、とっても難しいのですが、それを実現するのが私のモットーです」と吉岡さんは言います。


Part 2

master 名匠(の)、親方(の)
craftsman 職人、工芸家
instructor 指導者、教官、専任講師
have no intention of ― ing ―する意図はまったく持っていない
follow 従う、後をたどる
footstep 足取り、足跡
instead その代わりに
dream of ― ing ―することを夢みる
pursue 追求する
career 職業
journalist ジャーナリスト

leave behind ~ ~を置いて・後にして去る
aesthetics 美学
envelop 包む
little did he know ~ 彼は~をほとんど知らなかった
fate 運命、宿命
successor 後継者
craft 手工業
trace back to ~  ~にさかのぼる
the Edo Period 江戸時代

era 時代、時期
strive 懸命に試みる、奮闘する
as a young student 若い学生の頃・時
witness 目撃する
firsthand 直接
consequence 結果
rapid 急速な
industrialization 産業化、工業化

observe 観察する
surface 表面、川面
due to ~  ~のせいで
float 浮かぶ
wastewater 廃水
bubble 泡
scene 光景
stark まったくの、むき出しの、明々白々な
in stark まったく
contrast 対照的な
image 映像、面影
be filled with ~  ~でいっぱいである
object もの、対象、目的
curio 骨董品

graduate 卒業する
employment 雇用、仕事、勤め口
set up ~  ~を立ち上げる・設立する
specialize in ~ ~を専門とする
significant 意義のある、重大な
influence 影響
palette パレット、色合い、色調


大学の先生でもあった、染職人の親方の長男として京都に生まれ、吉岡さんはお父さんの足跡をたどろう(→お父さんと同じ道に進もう)という意思はまったく持っていませんでした。その代り、ジャーナリストとしての仕事を追求するという夢を持っていました。東京の大学に通うために故郷を離れるときに、子供のときからずっと包んでくれていた伝統的な日本の美を置いて行くことになると、吉岡さんは思いました。起源が江戸時代までさかのぼることができる家業の手工業の後継者になることが宿命だとは、ほとんど気づいていませんでした。

日本が今の(姿の)国家になろうと懸命になっている時期に、吉岡さんは大学生でした。若い学生のとき、吉岡さんは急激な産業化が環境に与える結果を直接、目の当りにしました。浮かんでいる廃水の泡のせいで多摩川の表面を見ることがほとんど不可能な有様を観察しました。この光景は、美術品や骨董品や美術書で一杯の故郷と両親の家の面影とまったく対照的でした。

大学を卒業して、吉岡さんは出版社に働き口を見つけました。間もなく、まだ20代のうちに、日本の美術と工芸に関する書籍を専門に扱う出版社紫紅社を設立しました。会社の漢字は、古い時代から日本の色彩に重大な影響を与えてきている紫と紅の2色です。


Part 3

announce 公表・発表・明言する
succeed 後を継ぐ
wonder who ~ 誰が~なのかと不思議に思う
do the dyeing 染物をする
annual 毎年の
shortly after ~  ~した直後に
the family line of work 家業
find oneself to be ~ 気がついてみると自分が~している

at the time 当時、そのとき
a course of action 行動方針
spring to mind 頭に浮かぶ
pre- 前、先、~以前の
artwork 芸術品、工芸品
wonder why ~ なぜ~なのかと不思議に思う
vivid 鮮やかな
profound 深遠な
impact 影響、インパクト

of interest 興味のある
(いわゆる「 of + 抽象名詞(読み方が○○スで終わる言葉が多い) = 形容詞 」のカタチの オブ☆スの公式 です)
particular 特定の、他とは違う
The Tale of Genji 『源氏物語』
describe 描写する、形容する
tint 色合い、色調
be connected with ~  ~とつながりのある
aristocrat 貴族
see A with B AをBで見る
subtle 微妙な
coloring 色合い
evolve from A to B AからBまで進化する・変化する
bud つぼみ
full-bloomed 満開の
scatter 散る
petal 花びら

together with ~ ~と一緒に、~と共に
like-minded 同じ目的を持った、同好の
dyer 染職人、染物師
reproduce 再生産する
chemical 化学の、化学的な
dye 染料
ancestral 祖先の、先祖伝来の
organic 有機栽培の
climate 気候
dramatically 劇的に
obtain 手に入れる


吉岡さんの弟さんがお父さんの後を継くつもりはないと明言したとき、古くからの寺社での毎年恒例の伝統行事に必要な染物を誰がするのだろうと、吉岡さんは不思議に思いました。吉岡さんはそうした染物を作る人にならなければいけないと決心しました。家業に加わったすぐ後で、お父さんが亡くなりました。吉岡さんは気づいてみると、突然、自分が吉岡家の第5代の親方染物師になっていました。そのとき、行動方針が頭に浮かびました。「江戸以前の芸術品を見る機会がたくさんありました。自然素材だけで染められたものの色は、なぜとても鮮やかに見えて、自分がとても深い影響を感じられるのかと不思議に思ったことを覚えています」

平安時代の色は、吉岡さんには格別、興味深いものです。『源氏物語』には色合いを言い表す80以上の異なった名称があります。この理由の1つは、貴族たちが四季をどのように経験したのかに関係しています。例えば、花がつぼみから満開になり、花びらが散るまで変化するといった花の色合いのような、自然の中にある微妙な変化を、貴族たちは自分自身の目で見ることができたのです。

同じ気持ちを持つ1人の染物師とともに、吉岡さんは化学染料を一切使わないで、伝統的な色を再現し始めました。祖先の染物師と同じように、2人はベニバナ、ビンロウジ、カリヤス、ザクロのような有機植物と素材だけを使います。しかし、地球の気候がここ200年で劇的に変わってきているせいで、有機染に必要な素材を手に入れるのは簡単ではありません。


Part 4

refusal 拒否、拒絶
synthetic (化学)合成の、合成物質
stem 由来する、茎、幹
stem from ~ ~から起こる、~に由来する
scum 浮きかす、クズ、カス
on the top of ~  ~の表面・てっぺんにある
studio スタジオ、工房
employ 採用する、用いる
time-honored 古くからの、由緒ある
time-consuming 時間・手間のかかる
weave 織る

in an age of ~ ~の時代
machinery 機械類
policy 政策、方針
anomaly 異例、奇妙、不合理
bother 悩ませる
advanced 進んだ
wonder if ~ ~かどうか不思議に思う、~かどうか疑わしく思う
sensibility 感受性、敏感さ
develop 発達する
in line with ~ ~に合わせて
the passage of ~   ~の経過・流れ

for ~ to ― ~が―する
survive 生き残る
pass on A to B AをBに回す・渡す
A as well as B  Bと同様にAもまた、Aと同じようにBも、AもBも同じように
(ここでは A = 地理的広がりを表わす横軸、 B = 歴史的に縦につながる時間軸で、横軸方向も、縦軸方向も両方とも、初めて出てくる概念ですから3番目の解釈で訳しておきました)

pass down A to B AをBに受け渡す・伝える
actively 積極的に
be involved in ~ ~に関わる、~に従事する
both lines of ~ ~の両方の線
(ここでは、同時代のできるだけ多くの人に広める横方向の広がり(=地理的な広がり)と、次の世代に受け渡す縦方向の広がり(=歴史的な広がり)の2つの方向性をもった保存活動のことを指します)

preservation 保存、保護
in addition to ~ ~に加えて
the use of ~   ~の使用、~を使うこと
(目的格の of です)
direct 指揮する
large scale 大規模な
exhibit 展示
as well 同じように、同様に
lecture 講義

apprentice 見習、実習生、徒弟
at any one time どんなときにも
be open to ~  ~に門戸が開かれている
coloration 色の使い方、配色法
be amazed at ~  ~に驚く
naturally 自然に、生まれつき、実物のように、ありのままに
trade secret 企業秘密
carry on ~  ~を続ける・継続する


吉岡さんが合成染料を使うことを拒否することは、多摩川の表面に浮かんでいるのを見た浮きカスの記憶に由来しています(→廃液のカスが多摩川の川面に浮かんでいるのを見た記憶に端を発しています)。伝統的な日本の色を作るために、吉岡さんの工房は由緒ある、手間のかかる染め方と織り方を採用しています。現代の機械類と合成染料の時代にあっては、工房の方針は不合理かもしれませんが、そんなことは吉岡さんは気にしてはいません。吉岡さんは言います。「千年前に使われた技術は、現在の技術よりも進んでいます。私たちの感受性と技術が、時の流れに合わせて発達してきていると言えるのかどうか疑問に思います」

伝統が生き残るためには、多くの人に広まることと、次の世代に受け渡されることの両方が同じように必要です。吉岡さんは保存のためのこうした2つの方向両方に積極的にかかわっています。日本の色彩と天然染料の使用に関する本を数冊書くことの他にも、吉岡さんは東京の地下鉄と成田空港に大規模な公共芸術作品をプロデュースしてきています。吉岡さんの作品は日本だけではなく、講義を行ったことがあるミュンヘンとロンドンでも同じように展示されています。

常時、いつの時期をとっても吉岡さんの工房には10人くらいの実習生たちがいます。工房は吉岡さんの下で学びたいと思う人なら誰にでも開かれています。ギリシャ出身の実習生カリーナさんは、ロンドンで色の使い方と織り方を学んだ経験がありました。日本にやって来て、カリーナさんはこの工房での、ありのままに美しい色彩に驚いていますと語りました。カリーナさんの師匠(=吉岡さん)は「企業秘密なんてありません。実習生たちには、ここで学んだ技術を他の人にも教えてもらいたいと思っています。それが伝統を維持する方法です」

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